妹より電話
「母がベージュのちゃんちゃんこを姉に買って欲しいって言ってるんだけど」
 ベージュのちゃんちゃんこ?
 何にいるのよ。買ってあげるけど、今忙しいから仕事終わってからにしてよ。
「ベージュのお祝いで、みんな娘にちゃんちゃんこを買ってもらってるんで、うらやましいんだって。」
 ・・・。米寿ってのは、88才の祝いだが・・。母は還暦だ。還暦の祝いは赤いちゃんちゃんこだ・・・。
「ええ?
 ははー(むこうで話してる)
 そうそう、還暦の赤いちゃんちゃんこ。」
 ・・・・。
 本気?
 本気で赤いちゃんちゃんこが欲しいの・・?
 買ってはやるけど、本気なの?
「ははー(むこうで話してる)
 ええとね、赤いちゃんちゃんこは例えなんだって。
 だまってても娘が祝ってくれるもんなんだって。」
 ・・・じゃあ、仕事終わったら連絡するから・・。
 と、電話を切ったのですが・・・・。
 米寿と還暦の区別もつかないのに、赤いちゃんちゃんこなんか、いらねえだろがよ。
 ていうか、娘はそこにもいるだろう、母!
 なんで同じ屋根の下の娘ではなく、私に言う!
(転職したての妹が薄給だから)
 ていうか、なんで自分で言ってこないのだ。妹に電話させやがって!
 ああもう!
 年寄りってめんどくせー。
 まあ、つきあいの長い年寄りですんで、気が済むのならばちゃんちゃんこくらい買って差し上げますけども。
 別に、今さら還暦祝いなんかしなくてもいいじゃん。
 母は孝行娘を二人持ったと、母の少ない友人の間じゃあ評判じゃん・・・。
 今さら還暦祝いを娘からせしめて、一体誰に自慢するんだっっていうか、自慢すんのか・・。みせびらかすのか・・・。な、何を買ってやればいいんだ・・・・。青ざめ・・・・。
 年寄りが「娘に買ってもらったの」と自慢できるもんは何だー!
 あー・・・。
 妹も巻き込んでどっか温泉でも日帰りで行くかいな・・・。いや、そんな疲れそうな事いやだ・・。
 あー・・・。
 ちくしょう、甘やかした分だけわがままになりやがって・・・。
 

 私が子供の頃母に言われた言葉を母に返したい「他所は他所。
 うちはうち。」


 そんな会話の後に妹から届いたメール。(無断転載)

「 大丈夫け?

 TELしても良かったのに。
 今更ですが毛糸のパンツ出してはかせて電気アンカ出して熱い茶でもだしたろか?

 母の欲しい物は娘の優しさの様です。
 赤のちゃんちゃんこ貰ったりした人に自分も自慢したい様です。

 どうしますか?

母をしばく
母に偽りの愛を送る   」
 真実の優しさを母に・・・って選択肢はないのか・・・?

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