妹よ・・・

2003年8月28日
 妹よ。
 君は言ったね。
「母をあんまり怒らんといてあげて」

 そうね。
 怒りんぼな私。
 ちょっと、怒りすぎてたかもね。

 でもね、でもね。


 今日の母。
 仕事中に急に(いつもの事だが)血相かえてやってきました。
「こんにちは
 債券管理センターです。
 あんた借金払ってないでしょ?
 すぐ払ってね。
 でなきゃ取り立てに行くよ?
 そしたらあんた、恥かくよ?
 これみたらすぐ電話してね!
 090ー#########」
 (意訳)
 てな手紙が来たんですと。
 うちに持ってきました。
 どーみても詐欺の一種じゃん。
 どこでいくらの借金か書いてないし、色々あやしいし。
 たぶん、この携帯番号に電話かけると押しがしとかやられたり、借りてない金の取り立てをされるのよね。
「どう見ても詐欺です、お母さん」
 慌てた母は私の言う事聞いちゃいません。
「心あたりなんか、ないんよ?
 ほんとに心あたりないけん、胸はって姉ちゃんに相談できる思うてきたんよ」
「ええ、これは心あたりない人に来るお手紙です。
 そうやってあわてた人が電話してくるのを待っているのです。
 電話してはいけませんよ
 私は今仕事で忙しいので、心配なら明日にでも警察に電話しておいてあげましょう」
「もう、読んでも読んでも意味わからんし
 変じゃろ?」
「ええ、だから、詐欺でしょう
 お母さん、座り込まないで下さい
 用事がすんだらお帰りなさい
 私は今仕事中なのです」
「そんでうち、明日電話してみよう思うたんじゃけど、その前に姉ちゃんに相談しよう思うて」
 ああ、なんと言う事でしょう。
 安心した母は座り込んで世間話体制です。
 今日は妹がいなくて相談できないのでうちに来たんだって。
 うちにくんな。
 心配ならこういうのは警察行くんだよ・・・。
 困った時は役所とか警察とか消防署に電話した方が漫画家の娘に相談するよりどうにかなるんだと、ああ、私は何年言い続けているだろう。
「電話してはいけませんよ
 あのね、私は今仕事中で忙しいの、お母さん」
「ほいで明日この番号に電話しようか思うて」
 あああ、もう!
「だから電話すんなって言ってるだろが!
 何回言わせる気じゃ!
 これはどうみても詐欺じゃ言うとろうが!
 心配ならこのまま警察に相談に行け!」
 怒ったので、母は帰っていきました。
 手紙は取り上げたので、電話はしないでしょう。
「じゃあお姉ちゃん、警察に電話しといてね
 明日どうなったか聞きに来るから」
 あ、明日うちにどうなったか聞きに来るくらいなら、明日、あなたが警察に相談に行った方が早いでしょ〜〜〜
 だいたい、あんた私の事信用してないじゃん〜〜
 私が大丈夫、とかああしろこうしろ言うても、母は聞く耳もたないじゃん〜〜
 お医者さんとか市役所の人とか、若造ではあっても成人男子の言う事なら聞くけど、私がどれほど親身になって正しい事言っても母は私の言う事聞かないくせに〜〜〜
 この詐欺手紙だって、本当に心配なら、私がいくら大丈夫って言っても最後にはいっしょに警察に行って警察官の口から「大丈夫ですよ」って言われるまで安心しないくせに〜〜〜


 あああ〜〜〜

 妹〜〜〜

 この母に怒らずにいろと言うのは、あまりに酷です。
 いいじゃん、母はもう、私からは怒られなれてて、どれほど私が怒ってもどうせ聞いちゃいねえんだからよう・・・・。


 ちなみに先日は風呂場の蛇口が壊れたと わ た し に言ってきよりました・・・。
 うちは工務店は決めてるので、何か困ったら工務店に電話しろと常々いうております。
 私に言われても、私はささいな事でも家の直しなんかできないし、やる気もないし。
(小さな工事とかでも、決まった工務店に頼んでると飛び込みで知らない工務店に見積もり頼むよりずっと安いんだよ。)
 結局妹と工務店の住宅展示場まで話つけに行ってまいりました。
 も〜〜
 蛇口交換くらい、自分で頼め〜〜
 ていうか、私がどうにもできない事を私に相談するな〜〜〜
 どうせ、私がアドバイスしても聞かないくせに〜〜

 忘れてないぞ〜〜〜

 母が膀胱炎の時に
「膀胱炎は、膀胱に菌が繁殖してて痛いんだよ。
 しっこする時痛いからって、しっこせずにいると菌が繁殖しちゃうんだ。
 だから、しっこするのが痛くても、どんどん水のんでしっこして。
 膀胱にどんどん新しいしっこがたまって出ていけば、菌が繁殖しないからね」
 と、すげー当り前の事を何度噛み砕いて説明しても
「しっこするのに痛いから水は飲まない」
 って、母は水分を取りませんでした。
 けど、病院で
「たくさん水分とってお小水して下さいね」
 って言われたとたん、水をがぶ飲みしましてな。
 呆れたけど、それが母だし、膀胱炎で痛い痛いとうるさいので早く治ってほしかったので、水分がんがん与えましたとも。
 そしたら今度は水分の取りすぎで下痢になったと、私にうらみつらみを・・・・。


 ああああ、なんて事。
 母との思い出を書きはじめたらとまらないじゃないの!
 ああああ。
 

 ねええ、妹〜〜〜

 無理!
 絶対、無理!

 私に母に怒らずにいろって言うのは、母に貯金しろって言うくらい、無理なお話だわ・・・。

 ああ、明日もアシスタントさんが来るのに、原稿中なのに、とっととカラー仕事の下書しときたいのに、あああ。
 
 明日は警察に電話しなくちゃ。

 あー・・・。


 まあ、あれだ。
 大丈夫だ。
 私がいくら怒っても、母は慣れっこで悲しんだりしてねえって。
 気にすんな、妹。


 そんで私は気になるんですが・・・・。

 お母さん・・・・。

 胸はって私に相談できない心配事って、何・・・・・・・・・・・・・・・・。 
 

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