これは、キャスティングの段階で無理があったんじゃないかなあ?

 と思ってしまいましたが、どうなんだろう。

 私の記憶に残ってるのは月組再演バージョンなんだけど、もっとオトナの話だった。

 月組での初演、再演を観てなければ、これはこれで納得できたのかもしれないが、私は過去の月再演を観てしまっているからなあ。

 ダメだろ、と思ってしまいました。

 特にリカルド。
 月再演の嘉月さんのファンだからかもしれないが。

 嘉月リカルドは、そりゃあ苦悩しまくってましたよ。
 しなくていい苦労をしまくったような、そしてしなくていい苦労をせずには生きていけない、生きて行くのが苦手な獣でした。

 革命こそが人生であると盲信して、他の人生を探す事をしなかった哀れな男。
 妹しか愛せなかった可愛そうな男。
 妹への盲愛ぶりが、彼の世界の狭さを物語っていた。
 きっと妹しか、リカルドを愛してくれた人間がいなかったのだろう。
 そして妹しか、愛していい人間がいなかったんだろう。
 
 ただ、リカルドにとって特別な存在がニコラス。
 ともに革命を夢見たニコラスは、狭い世界に生きているリカルドにとって妹と同じ比重で大事な存在だったんだろう。

 ブエノスアイレスの風は、革命と言う夢を失っても生きていけた男ニコラスと生きていけずに破滅するしかなかった男リカルドの物語。
 だったんだけどな、月再演の記憶では。

 星再演のリカルドはなんていうか、普通に生きていけそうな好青年だった。

 星リカルドが死んだのは、運命でもなんでもなかった。
 ほんの少しの運命のさじ加減で死なずにすんだように見えた。

 嘉月リカルドは、あれはもう、死ぬしかない人間だった。
 もし嘉月リカルドが生き延びるとしたら、幼児期から人生やりなおして、うんと愛してくれる両親の元で革命なんか考えようもない平和な国で育つしかなかったよね、ていう感じだったんだ。

 そんな嘉月リカルドとカノチカ妹のエロかったこと、エロかったこと。
 兄妹なのにそんなにエロくてどうすんのってくらい、エロかった。
 あの二人が床に転がった時には、そのまんまやっちゃうか?くらいなエロさがありました。

 星のリカルドと妹は別にエロくなかったな。

 もっとも、月再演での兄妹がエロかったのは、カノチカちゃんの「可愛い顔してダイナマイトボディ」もかなり大きかったと思うけど。

 この兄妹がエロかったのは、そのまんま、二人の世界の狭さ、兄も妹も、他人を受け入れずに生きて来たって事の表現でもあったと思う。

 さらに、ヒロインもかなりエロかったと言うか存在感があったから、リカルドと妹がどんなにエロくても、ニコラスとヒロインの方が負けない存在感で拮抗していた。

 月再演はオトナの話だった。

 なので、今回の星再演は物足りなかった。

 それで、きっと役者さんが若くてキャスティングがダメだったんじゃないかなあ?と思っちゃったんだけど。

 どうなのかなあ?


 ところで、月初演、月再演では警部の方が二番手あつかいされてたのに、星再演ではリカルドが二番手扱いされていた。

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