消しゴムかけやベタ塗りができないアシスタントさんのお話を書いて、それだけじゃ良くないと思ったので、頼りになるアシスタントさんのお話も書いておきます。

 昔、月200枚くらい描いてた頃はとにかく人手が欲しくて来てくれそうな人には声かけまくってほぼ毎日2〜4人のアシスタントさんに来てもらってました。
 そんな仕事が数年続いたので、たくさんの人に来ていただいたので色んな方がいたのです。

 私がすがりつくように頼ってたのは10年以上来てくれてたお三人さま。
 この方たちが皆さん同時期にご結婚なさりその後転居やご出産があって助けてもらえなくなったのでござる。
 本当になんでもできる人たちだった・・・。
 絵だけでいうなら私より上手かった。
 同人誌もらってましたが漫画も面白かった。
 なんでこんだけ描けてプロ志望で漫画家じゃないんだろう、って思ってました。
 そういう事を考えさせてもらえたのも、私が漫画家として生き残れてる要因の一つかと思います。 
 漫画が上手くて面白いだけじゃ漫画家で食っていけないって事、結構大きいですよね。
 すごく料理のうまい人がレストラン開いて何十年も経営していけるかどうかって話と置き換えれば理解していただきやすいのではないでしょうか。

 漫画もだけど、人として素晴らしかった。
 なんで新卒からうちにアシスタントに来てるのに私より社会常識があるの???
 って感じだったり、
 さすが会社勤めしてる人は気が利くし物知りだぜ・・・
 って感じだったり。
 漫画の仕事以外で教えてもらう事がたくさんありました。

 パソコンに関しては、もちろん私なんか足元にも及びません。
 何度仕事中に
「お仕事中すみません、助けて下さい」
 とパソコン前からアシスタントさんを呼んだ事か。

 ・・・・なんでみんな、あんなに優秀で忍耐力があって賢くてなんでもできて辛抱強くてもっといい仕事探せただろうにうちでアシスタントしてくれてたのか・・・・・。
 
 っていう人たちにずっと助けてもらえてました。

 今でも謎なんだけど、ご縁というものなんでしょう。

 それと、アシスタントしてた頃の先輩たち。

 商業誌で仕事取り始めた始めの頃は、アシスタントの仕事しながら自分の原稿も誰かに手伝ってもらうって感じでやってました。
 同僚の先輩アシスタントさんに手伝ってもらう事が多かったです。
そもそも先輩アシスタントさんなんだから、仕事のできる人たちです。
 そんで、私に「助けてええ手伝ってえええ」ってすがりつかれたら断りきれない性格の人たちが私の餌食になってました・・・。

 って感じなので、私の場合は圧倒的に優秀なアシスタントさんに助けてもらった割合の方が大きいです。

 そして私は邪悪だった。
 
 うちの他にはケーキ屋さんでバイトしてたアシスタントさんがいて、ケーキ屋さんバイトの曜日は来てもらえなかったので
「あのケーキ屋が火事でなくなってしまいますように・・・」
 とアシスタントさんの前で祈りを捧げて
「やめて下さい」
 とアシスタントさんにたしなめられたり。

「まぎいさんが貧乏になりますように。
 まぎいさんがなんでもいいからバイトしたくなるくらい貧乏になりますように。
 まぎいさんが貧乏になるくらい、まぎいさんの物欲が炸裂しますように」
 とまぎいさんの前で祈りを捧げ師匠に笑われたりしてました。
 まぎいさんは
「りか君、やめてくれないか。
 頼まれたらアシスタントしてるじゃないか」
 と苦笑してました。

 アシスタントさんが作業する後ろから
「頑張れ私のポケモン!」
 と応援したら
「違います」
 と否定されたり

 アシスタントさんが作業する後ろから
「私のために生まれてきてくれてありがとう!」
 と感謝を述べたら
「絶対違う」
 と却下されたりしてました。

 書いてて懐かしくなってきた。

 十数年そんな感じで仕事してたから、アシスタントさんには助けてもらいまくってました。

 助けてもらいまくってた頃は仕事もたくさんしてたから、毎日息も絶え絶え。
(なのに宝塚に通って映画館にも行って読書もしまくれてた謎)

 昨日消しゴムベタ塗りができないアシスタントさんのお話を書いてしまったので、言い訳のように仕事のできる人のお話も書いてみました。

 たくさん仕事してた頃、仕事がこなせてたのは本当にアシスタントさんのおかげだったなあ。

 
 今は昔に比べると少ない原稿を一人で仕上げてます。

 世の中がまだコロナで大変な感じなので、新しく求人を出す気になれません。
 私はおそらく高速バスが再開して舞台の幕が開いてチケットが取れたら都会に観劇に行くと思うので、そんな漫画家の家にアシスタントさん呼んじゃいけない気がする。
 いや、そもそも一人で原稿描いてると観劇に出かける時間と体力がないので出かけられないのだけど。

 この先どうなるかわからないけど、ご縁があればまた誰かに助けてもらえるでしょう。
 そうでなければ、一人で頑張ります。

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